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zoom RSS 「ロング・ディスタンス・デディケーション その1」 雨野里香

<<   作成日時 : 2010/11/13 16:10   >>

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本のタイトルは『ロング・ディスタンス・デディケーション』
です。異色のエッセイ集といってよいでしょう。
AFNがFENだった頃、「アメリカントップ40」という人気番
組がありました。著者の雨野里香は、その番組を録音し
たテープを100本ほど持っていて、今でもよく聴いている
そうです。
録音されているのはすべて80年代に放送されたもので、
様々な年の様々な週がアトランダムにストックされている
そうです。
100本といっても、あの番組は40位から1位の曲までを
ほぼフルコーラスで流し、放送時間も午後の1時から5時ま
でだったはずですから、一日分で90分テープ二本と60分
テープ一本が必要になります。最初は毎週録音していた
そうですが、かぶる曲が多いので、次第に間隔をあけるよ
うになったとのことです。
番組のなかに『ロング・ディスタンス・デディケーション』と
いうコーナーがありました。遠く離れた誰かにリクエストソ
ングを献辞として贈る(送る)という趣向です。もちろん曲
だけではなく、心温まるちょっとしたエピソードとともに。
リスナーからの便りを読み上げるのは、ご存じケイシー・
ケイサムです。私も大好きなコーナーでした。もっとも、ヒ
アリングにはそれほど自信がないので、よくわかりませ
んでしたけどね。
雨野里香はこのエッセイ集で、ストックされたテープのな
かから毎回一本の『ロング・ディスタンス・デディケーショ
ン』を取りあげて、エピソードとリクエストソングを日本語に
訳して紹介した後、バブルに浮かれていた当時の日本の
世相であるとか、リクエストソングの歌詞の凡庸さである
とか、ときにはエピソードそのものを批評する、という非常
に手の込んだことをやってます。
確かにユニークな企画で、それ自体はいいのですが、こ
の『ロング・ディスタンス・デディケーション』が怪しいので
す。リクエストソングを含めたエピソードがひょっとしたら
作者の創作なのでは、という疑いが消えません。
例えば、DJは「ケイシー・ケイサム」と表記されることが
ほとんどですが、雨野は「ケイスィー・ケースム」としてい
ます。「アメリカン―」は「メリカン」です。
怪しい・・・、どうも怪しい。
では今回の『ロング・ディスタンス・デディケーション』を見
てみましょう。
“ハイ、ケイスィー、
 いつも番組を楽しく聴いています。
 あなたの大ファンです。    (ありがとう)
 私はジョージア州の名もない街に住む四十
 二歳の主婦です。多分街の名前を言って
 も誰も知らないでしょうから、あえて言いま
 せん。              (オーライッ)
 私は生まれてからまだ一度もこの街を出た
 ことがありません。多分この先もそうでしょう。
 一生この街で暮らすつもりです。
 私は二十歳の頃、ボブという男性と付き合っ
 ていました。彼は古い家などを解体する作業
 員でした。私は小さなコーヒーショップのウェ
 イトレスをしていました。
 私たちはあまりお金がありませんでしたので、
 それほどあちこちには出かけられませんでし
 た。いつもたいていは、日当たりの好い公園
 のベンチに腰掛けて、好きな映画や音楽に
 ついて話したものです。そういう話をしている
 と、なぜかあっという間に時間が過ぎてしまう
 ものですね。
 たまには友だちに車を借りて、ドライブに行く
 こともありました。アトランタまで時速80マイ
 ルでトバして飛行機を見にいったこともありま
 す。
 ところが、ある日ささいなことで私たちはケン
 カをしてしまいました。今となっては、そのケ
 ンカの原因がなんだったのか、どうしても思い
 出せません。何しろもう二十年以上も前のこと
 なんですから。
 とにかく、次の日、ボブは街を出て行ってしま
 いました。そして二度と帰っては来ませんで
 した。
 とても長い時間が流れました。とってもとって
 も長い時間が流れました。
 現在私は結婚して二人の息子がいます。上の
 子はハイスクールでフットボールをしています。
 サッカーのほうです。そろそろ受験なので、ス
 ポーツは一時お休みです。下の子はまだ小学
 生なのでベースボールに夢中です。
 ケイスィー、この曲をリクエストします。
 今ボブがどこで何をしているのかはわかりませ
 ん。でもきっと、この放送を聴いていると思いま
 す。私たちはこの番組が大好きでした。毎週か
 ならず聴いていました。カウントダウンがトップ
 10ぐらいになると、私たちはたまらない気持に
 なりました。カウントダウンが終わって欲しくな
 かったのです。このカウントダウンがいつまでも
 いつまでも続いてくれればいいのにと、どんなに
 願ったことでしょう。
 ですから、この歌をリクエストします。
 あの頃の二人へ
 ジュディより・・・。
 《OK Judy, This week's long distance dedication
"Procol Harum, A whiter shade of pale" 》”

いかにもありがちな、怪しい話です。《古い家などを
解体する》なんてところが、特に怪しい。
まあよく考えたら、リスナーがハガキに書いたことだ
って、どこまで本当かわかりませんからね。そもそも
そんなハガキだって、存在しないかもしれないのです
から。

さて、雨野里香がこの献辞に対して何を言っているか
というと、《この文章はカウントダウンにたいするアンチ
テーゼ》なんだそうです。カウントダウンは不毛であり、
時間の浪費であり、マンネリであり、とどのつまりカウ
ントダウンは虚しい、というのが雨野の解釈です。

とにかく、懐メロのなかではこの『青い影』が一番好き
です。まあ、80年代も懐メロなんでしょうけどね、もは
や。
 

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