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zoom RSS 「ガラスの学士」 セルバンテス/牛島信明

<<   作成日時 : 2010/11/09 11:20   >>

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セルバンテスといえば『ドン・キホーテ』
ですね。臨終の場面は忘れられません。
正気に返ったドン・キホーテが、夢中に
なって騎士道物語を読みふけったことや、
それに影響されて、自分を騎士だと思い
こみ、諸国を遍歴したことなどを恥じるの
です。すると、学士のサンソン・カラスコ
がこう言うのです、
《さあ、お願いですから、そんなつまらな
いことを言うのはやめにして、本来のあな
たに戻ってくださいよ。》(牛島信明訳)
これはみなの、読者の気持ちを代弁して
います。狂気が正気に勝ったのです!こ
の結構!この逆転劇!
もちろん、みんなドン・キホーテに死んで
欲しくなかった。しかしそれだけではあり
ません。ドン・キホーテひとりぐらいは狂気
に生きて欲しかった。みんなドン・キホーテ
のように生きたいのです。でもそれができ
ないとわかっている、だからせめてドン・キ
ホーテはアロンソ・キハーノではなく、あく
までドン・キホーテとして生きて欲しかった、
最後まで・・・。

『ガラスの学士』も狂気ものです。
貴族に引き取られたトマスという少年が、
学問をおさめ、諸国を旅した後にスペイン
に帰国し、さらに学問を続けて法学士の
学位を取ります。そのころには、心身とも
に成長し、男ぶりもすっかりあがっていた
トマスですが、彼は本を読むこと以外まる
で興味がありません。
海千山千の女がトマスに恋しますが、彼
の心を動かすことができません。彼は本
以外まるで興味がないのですから。
女は媚薬入りのマルメロの実をトマスに
食べさせます。
媚薬は媚薬として作用せず、毒として効い
てしまいます。人事不省に陥り生死の境
を彷徨ったトマスは、一命を取りとめたもの
の狂気に取りつかれてしまいます。すなわ
ち、自分の体がガラスでできていると思い
こんでしまうのです。
知性は失わなかったトマスは、どんな質問
に対しても深い洞察と機知に満ちた答えを
返し、その狂気も相まって次第に評判とな
り、都に招かれて、『ガラスの学士』という
名声は国中に響き渡るというわけです。

『ガラスの学士』も『ドン・キホーテ』と同じく、
最後には正気に戻ります。トマスの場合は
兵士として戦場に赴き、武勲をたてて一生
を終えますが。
セルバンテスにとって狂気とは、いつかは
覚めてしまう夢のようなものだったのかも
しれません。



ドン・キホーテ
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